冨田勲さんの作品とシンセサイザー~NHKでも活躍

冨田勲さんは2016年に逝去

日本を代表する世界的な音楽家、冨田勲さんが、2016年5月5日に、心不全でお亡くなりになりましたね。享年84歳でした。


※写真引用元:冨田勲の活動

お亡くなりになったときは、音楽関係者も残念な思いになっていたのを憶えています。

矢野顕子さんも、当時はツイッターで、その驚きをつぶやいていましたからね。

矢野顕子さんの驚きはわかります。私も冨田勲さんのことは思い出が多すぎて、どこから言ってよいのやらで戸惑ってしまったほどです。

シンセサイザーが奏でる冨田サウンドに大興奮

それにしても偉大な音楽家がお亡くなりになったと思います。冨田勲さんは、まさに「偉大な音楽家」。

冨田勲さんの音楽を最初に聞いたのは小学生の頃でしたね。NHKのテレビで、奇妙でありながら面白くもあり、また不気味な音を奏でる不思議な楽器が登場し、その音に釘付けになったものです。

「なんだコレ???」。

この時のことは、スッカリ忘れてしまっていたのですが、その後、中学生の頃、夏休みだかに、FMの再放送で冨田勲さんの音楽が流れていたのをたまたま聞いて、度肝を抜かしたものです。

「な、なんだこの音楽はあ???」

その時、聞いたのは、アルバム月の光に収録されているドビュッシーのPassepied(パスピエ)です。

ドビュッシーのベルガマスク組曲「パスピエ」。これをシンセサイザーで演奏したものです。

聞いたことも無い電子音が奏でる不思議な音。で、この不思議な電子音に大興奮^^;

電子音のクセに、妙に抑揚があって生き生きとしている。まるで生楽器かのように生命感がある。いや、人工的な生命感。

音がスピーカーの左右を飛んだり、グルグルと回って聞こえる。この三次元的なサウンドにも超弩級の衝撃。

もう、電子音の斬新さやら、立体音響やらのダブルパンチを受けて、クラクラ状態。

いえ、本当は小学生の頃に、冨田さんのシンセサイザーを聞いているのですが、スッカリ忘れてしまっていて思い出せなかったのですが。

「シンセサイザー」とは怪獣のような代物?

で、ラジオから聞こえてくる話しを聞いていると、どうも、この奇妙奇天烈な音を出すマシンだか装置だか楽器だかは、「シンセサイザー」という代物らしいと。

「シンセサイザー???」

何かの怪獣かのような名前に聞こえます。「サイザー」だなんて、あーた、そりゃあ、メカゴジラのような怪獣を想像させますって。

で、そんなメカニックなイメージも相まって、「たぶんメカニック丸出しな装置なんだろうな」と、勝手に「シンセサイザー」なるものを脳内想像もしたものです。

それにしても「シンセサイザー」という言葉が、どうも憶えにくい。三歩歩いたら忘れてしまう。

なので「シンセサイザー、シンセサイザー、シンセサイザー」と呪文のように、中坊のワタクシは唱えていたものでした^^;

冨田さん愛用のモーグシンセサイザーは1000万円の代物

で、その後、冨田さんが使っているシンセサイザーが「MoogⅢC」というのを知ったものでした。

で、Moogの代理店からカタログを取り寄せて見たところ、まさに「メカニック」な楽器だったことを知って、余は満足状態に^^;


※写真引用元:wiki

「思ってたとおりだ」。
「やっぱり、こういうメカなヤツなわけだ」と。
ほくそ笑んだものです。
 

しかして、その値段が超高い。
当時、1000万だったかな、確か。
家一軒建つ価格!

んなもん、庶民はじぇったいに手にすることは不可能!価格でもクラクラ^^;

こんな超高級品楽器を所持する冨田勲さんって、天上人のような人だなあ、なんて思ったり^^;

ですが、実際は銀行から借金して、後先を考えず、インスピレーションで購入してしまったようです。

この度胸の良さといいますか、確信めいた直感で動くのも、冨田さん凄すぎ^^;

人工的な電子音を「音のアニメ」に仕立てた冨田勲さん

まあ、そんな馴れ初めもある冨田勲さんの「シンセサイザー音楽」。衝撃的だったものです。

まるで天国やら天上界で流れているかのような音楽に感じたものでした。あるいは「音のアニメーション」。

実際には無い「音」を人工的に生みだし、それで音楽を奏でてしまう。電子音そのものは、無機質で「信号音」のようなものです。

しかし、冨田さんは、そこに「抑揚」「奥行き」を加えて、電子音に命を吹き込むことに成功しています。

それはまるで実写版ドラマではなく、アニメ劇場であるかのよう。「音のアニメーション」。

冨田さんが生み出す、その人工的な音楽に、なんともいえない美しさと新鮮さを感じ、驚き、興奮を憶えたものでした。いえいえ、この感想は今もそうですね。

2作目「展覧会の絵」〜その不気味さがいい味を出している

で、メルヘンちっくなアルバム「月の光」の作品群に対して、この後に、不気味さ全開の「展覧会の絵」を出しています。

で、この「展覧会の絵」を聞いたのですが、これまた仰天。「ここまで不気味さを出せるのか」という位のインパクトのある音。

中でも「古城」。
不気味過ぎる^^;

地の底からフツフツと迫り来るかのような凄味。これを音で表現している。

しかしてシビれるくらいに、かつて聞いたことも無い異次元サウンドに仕立てている。すげー。
震えるぜ。 

そうかといえば、コミカルなアレンジもあったりして、実にユーモラス。それが「卵のからをつけたひなの踊り」

変幻自在に異次元サウンドを繰り出す、そんな音の手品師の如きの冨田サウンド。

もう、ラジカセの前にジっとたたずんで、ひたすら音の運びに耳を澄ましていたものでした^^;

NHKの番組音楽でも数多くの作品を残している冨田さん

で、そんな冨田勲さんの「シンセサイザー」音楽に、仰天しまくっている中、ずっと後になってから、NHKで使われていた数々の名曲も、冨田勲さんだと知って、これまた仰天。聞けば誰でも知っている名曲の数々。

・新日本紀行
・きょうの料理 テーマ曲
・ジャングル大帝

これらはごく一部ですが、聞けば「ああ、あれね」と思うものばかり。「新日本紀行」「きょうの料理テーマ曲」は国民的なBGMといっていい音楽です。
 

この他にも、名曲があったりします。ワタクシ的には、こっちのほうがいいかな。

・NHKニュース解説
・みんなのせかい(NHK教育番組OP)

「NHKニュース解説」「みんなのせかい」という、番組のOP曲。昭和らしいサウンドです。

「NHKニュース解説」なんかは最高です。この音楽、夜10時に流れていた記憶もあるんですが、「ああ、もう寝なくっちゃ」みたいな気分にさせるんですね。「睡眠」という異次元に誘うかのような音楽に聞こえたものでした。「NHKニュース解説」は、いいですなあ。

そんな奥行きのある音に、小学生の頃、虜になっていたのを思い出し、「ああ、これ、冨田さんが作ったものだったんだ」と知って、これまた驚いたものです。

海外のミュージシャンもリスペクトしている冨田さん

もう、幼稚園レベルの頃から、冨田さんの音楽に興味津々だったことを知って、ワタシャ筋金入りの冨田ファンなことを自覚したものでした。

ええ、ボサノバもそうですが、もう一つ、冨田サウンドにも魅入っておったわけですね。

手塚治虫の「ジャングル大帝」「リボンの騎士」の音楽も冨田さんですからね。記憶に残る名曲を、数多く作っています。


あと、海外の音楽家からも尊敬されていましたね。マイケル・ジャクソンやスティーヴィー・ワンダーらは有名です。

そんな冨田さんの作品などは、こちらに全部、まとまっています。

◎冨田勲 – Wikipedia

パイオニア精神が旺盛な冨田さん〜39才に借金してシンセサイザーを購入

冨田さんは、お人柄もよかった。紳士といいますか、人前では言葉を選んで話しをするのが、とても好印象だったものです。

また、超パイオニア精神の旺盛な方です。当時、家一軒が軽く建つ価格のシンセサイザーを購入。

お金持ちな人だなあ、なんて思っていたのですが、さにあらず。なんと、銀行からお金を借り入れて、借金して「個人」で購入しています。

で、さらに驚くのが、この年、39才。妻子もちゃんといらっしゃる時です。

人生の後半期に入りかかる40才を手前です。妻子ある身。

そんな無謀とも思えるチャレンジをしなくても、黙っていれば、NHKから仕事が入ってきて、それなりの人生も過ごせたと思います。

しかし、黙っていられないのが、パイオニア精神。この魂を持つと、突き抜ける衝動を抑えることなど不可能。おもいっきり清水の舞台から飛び降ります。

ものすごい英断。人生を賭した、大勝負。
 

シンセサイザーを購入したからといって、それで何かできるという確約も無いわけです。

根拠無き自信というか、希望というか、直感にしたがってスタートを切ったと。

しかし、いきなり挫折したと。シンセサイザーを購入したものの、「使い方がわからなかった」と。で、「とんでもない鉄クズを購入してしまった」。もう、大後悔。

現実とは、そんなもんです。トンデモない障害にブチ当たったり。
 

冨田さん、後年になって、当時は真っ暗な海に向かって一人小舟をこぎ出して、あてもなく進むかのようで、不安で不安で仕方なかったと、述懐していました。

これは、嘘偽りの無い本心なのでしょう。ですが、その恐れにひるまず進んだのが素晴らしい。

しかし、こういうのって、しびれますなあ^^誰も思いつかないことを、インスピレーションに従って度胸よく始める大胆さ。いいですなあ。
ゾクソクします。

シンセサイザー購入して3年後の42才に大転機が訪れる〜「月の光」が大ヒット

シンセサイザーに専念するために、それまでの音楽の仕事を断ちきり始め、仕事が末細りになっていく不安が高まる中、暗中模索でクリエイトし続ける日々。

シンセサイザーを購入して3年後の42才。ついにアルバム「月の光」を完成。時は1974年。

その人生を賭けた大博打の末に完成した「月の光」は、アメリカで高い評価を得ます。

冨田さんのアルバムは、日本人として初のグラミー賞ノミネート。全米レコード販売者協会の最優秀クラシカル・レコードにも選出。ビルボード・キャッシュボックスの全米クラシックチャートの第1位に輝く。

破竹の勢いで、音楽界に、一気に冨田旋風を巻き起こします。アート性の高い「シンセサイザー音楽」の金字塔を打ち立てます。

冨田さんは起業家のような派手さはありませんが、人生を賭けた、ものすごい英断で大チャレンジしていますね。こうしたパイオニア精神には、大変、共鳴します。


※写真引用元:冨田勲Facebook

ロマンチックな冨田さん

ですが、こうした大胆さの反面、とてもロマンスのある方なんですね。UFOや宇宙人を信じていました。「UFOを見たい」「宇宙人に遭いたい」と本気で言っていましたし。

こういうことを、人前で平気で堂々と言えるのが、また素晴らしい。素直であり、正直な人柄を偲ばせます。

実際、その素直さは作品にも出ています。臭いほどの「ストレートな美しさ」をも、そのままズバリ音で表現します。それは「青い地球は誰のもの」という歌です。

「青い地球は誰のもの」は、NHKの「70年代われらの世界」という番組で使われたテーマ曲のようです。

すごいですね。少し小っ恥ずかしくなるくらいの直球ど真ん中のストレートな作りです。

子どものように、素直に「いいものはいい」「大切なものは大切にしようよ」という、ピュアな感じが、ストレートに出ています。

こうした作品を作ることができるのは、冨田さんのお人柄があってのことだと思います。すごく好感が持てますね^^

亡くなられたのが残念。哀悼の意を表したくなります。

昭和の日本を象徴する音楽の巨匠、逝く

そんなわけでして、冨田勲さんの音楽は、ワタクシにとってみりゃあ、なんだか自分の一部であるかのような所があるなあ、と。

冨田さんのことを語り出せば、そりゃもうたくさんありまっせ状態^^私も何度か冨田さんの講演会やセミナーにも参加しています。

で、冨田さんとお会いして、話しもできて、握手もできて、サインもいただいて、写真も撮らせていただいたこともあります。

ところが!その写真が見当たらない。デジカメで撮ったのですが、どこへ行ってしまったんだろうか。どっかのPC内にあるんじゃないかと。
 

でも、冨田さん。亡くなった後、別の世界に行っても、その旺盛な探求心と創造力で、新しい音楽を作っていると思います。あるいは、UFOの研究をされるのかな。何らかのクリエイティブなことをされると思いますね。

昭和の時代から活躍し続け、マイケル・ジャクソンやスティーヴィー・ワンダーらも尊敬していた類い希なる音楽家、冨田勲さん。

右肩上がりに経済成長を続ける、そんな成長神話に彩られた昭和のニッポンを、音楽の側面から表したような方だったと思います。

永遠に残り続ける方であろうと思います。冨田さん、ありがとう!

「巨星堕つ」。

昭和の星が、また一つ消え、時代の節目を迎えた感も募る、今日、この頃です。

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