納棺師を描いた映画「おくりびと」を今になって見た~自然な作りとコントラストのある設定が功を奏した傑作

遅まきながら映画「おくりびと」を見ましてね。
「納棺師」という葬儀に関わる知られざるのお仕事が舞台の映画です。

「おくりびと」といいますと、今では年収1億を超えた「億り人」という言い方も出てきているほど定着した言葉にもなっています。

すっかり「おくりびと」は人口に膾炙された言葉となっていますが、この映画は10年前の2008年の作品であったとか。

監督は滝田洋二郎氏。
本木雅弘さんと、広末涼子さんが主演ですね。
第81回アカデミー賞外国語映画賞も受賞しています。

第81回アカデミー賞授賞
素晴らしいですね。

「おくりびと」は、そもそも本木雅弘さんが、青木新門氏の「納棺夫日記」を読んで感動したことが契機となって映画化されたといいます。

俳優からの提案で映画になったというのは、過去に前例があるんでしょうかね?異色の展開にも思えます。

で、上映していた当時は、私は仕事が忙しくて見ることができなかったものです。

あと「人気のある映画って話題作りなところがあるからな」といった「へそ曲がり」な気持ちが起きて、ちょっと警戒したため見る機会を逸したというのもありましたね^^;
でも最近になって見て、感動しています。

臨終を扱う縁起の悪さとは裏腹に人間味あふれる内面性の豊かさを表したギャップ感が小気味いい

しかし、当時、「おくりびと」は話題になったものです。
そもそも舞台といいますか、取り扱っている世界が「納棺師」。
「そんな仕事があったの?」と思わせるほど、認識が乏しいお仕事の世界です。

葬儀や納棺師は、まず映画の題材になりにくい世界です。
マイノリティ。
縁起も良くありません^^;

が、あえて、このニッチな題材を取り上げて映画化したためか、その鮮烈なインパクトと相まって、本木雅弘と広末涼子の織りなす夫婦愛がヒューマンタッチの小気味良い作りとなって功を奏している感も受けます。

また、見た目は「命がついえる」という縁起の悪さと寂滅さが漂う「納棺師」の世界です。しかし登場する人達の内面性は人間味あふれる温かい世界。見た目とは違う内面性豊かなコントラスにお強さがまた、見る者に強い印象と良い意味でのギャップを与えています。

で、このギャップが、感動を倍加させる演出の効果にもなっています。

だから、見ていると泣ける。
涙腺が崩壊^^
もう泣ける、泣ける。

「おくりびと」はいいですね。
素晴らしい。
いい映画です。

いい役者に支えられた「おくりびと」

主演の本木雅弘さんの、とぼけた感じの役が印象的であり効果的な役作りでした。
広末涼子さんも、バイプレイヤー的でいい味を出しています。

それと山崎努さんの味のある演技。
さすが「仕置人」です。
いくつになっても味のある演技ですね。

おくりびとは、いい役者揃いです。

ちなみに、音楽は、もはや映画音楽では巨匠の久石譲氏です。
聞けば誰でもスグにわかる久石節です、
感動を与える旋律がいいですね。

感動を倍増させる工夫が施された作り

それにしても、この映画は面白い。
上手な作り方をしている傑作映画じゃないかと思います。

笑いあり、涙ありが、いいさじ加減です。
このバランスがいいですね。

それと先にも書きましたが、「臨終」という暗い世界が舞台になっていますが、ここに関わる人達の温かさが際立つようなコントラスト感があります。このギャップ感が、視聴者の感動を高めるように作られていますね。

なので、見ていると、ホント、感情が揺さぶられます。
明らかにヒット、ウケ、感動を狙っている作りじゃないかと思います。
作り方がお上手です。

嫌味を感じさせない自然体の作りが印象を強めている

また、シーンの写し方(アングル)とワンシーンの時間が体感覚として自然です。なおかつ、シーンの切り替えが上手であり、これまた自然です。

でありながら一方では、スリリングな体感覚のある展開でもありますので、ストーリーに無意識に引き込まれていきます。

嫌味のない作り方と、自然体を感じさせる「ゆるさ」が根底にあって、これが視聴者の無意識に「やすらぎ」を感じさせていますね。で、この演出といいますか、印象の与え方が、本当のお上手。

映画の作り方がウマイですね。
こなれています。

感動を倍増させる工夫が施されていますね。
熟練の映画作りの妙を感じます。

「おくりびと」はベタなストーリーだからこそ傑作

「おくりびと」の物語設定は、ある意味「ベタ」です^^;
ありがちな物語です。

けれども、ベタなストーリーだからこそ、いいんですね。
ベタでいいんです。

これが奇をてらったり、見ている者の予測を裏切る作りになりますと、ピンボケになってしまうでしょう。こういう映画はベタに作ってこそ味が出てきますね。ストーリーに妙なひねりを入れないほうが、むしろわかりやすくなって見ている者に気持ちが伝わってきます。

「おくりびと」は温かい情感と思いやりにあふれた傑作です。
遅ればせながら見て感動しました。

映画はマジックですね。
文字で読んで、脳内で変換して楽しむのもまた乙かもしれません。