天界の神でも邪神になる~アーターナーティヤ経に登場する悪いヤッカ(神霊)

天人には悪いヤッカ(神霊)もいる

天界の神は天人と言われ天徳を有する存在です。
パーリ仏典には、善行をした者が往ける世界としています。

ちなみに天界へ往く方法には6種類くらいあります。
https://www.yurubossa.com/tenkaioujyou/

しかしながら天界の神といえども、性質が良ければ善神になり、
性質が悪くなれば邪神になるといいます。

実際に、そういう実例があります。
「ヤッカ」という低層領域に住む神は、
生き物を殺す、盗みを働く、嘘は付く、変態行為はする、酒好き大騒ぎをする
といった神(邪神)で、善を破壊するといいます。

そういう神もいるわけですね。

こうしたことは、パーリ長部仏典・第32経「アーターナーティヤ経」にあります。
漢訳では「阿吒曩胝経」というお経ですね。

原始仏典 長部経典3

 

この「アーターナーティヤ経」には、
「四天王界には、性質の悪い天人(精霊)もいる」とあります。
その代表が「悪いヤッカ(神霊)」であると。

で、性質の悪いヤッカは、
「生き物を殺し、盗みをはたらき、邪な性行為をし、
嘘をつき、酒を飲み(五戒を守らない)、
品行が悪く、性格も荒々しく、どう猛で、凶暴。
人に危害を与えたり、お釈迦さまを嫌っていた神もいて、
仏道修行者の邪魔をする者(神)もいる」とあります。

ひょえ~~~となりますね^^;
つまり五戒といった道徳を守らず、人にすら危害を及ぼす神霊です。

実は、天界の中にも、悪いヤッカのように、
問題のある神々がいらっしゃるんですね。
まさに、これこそが「触らぬ神に祟り無し」なんです。
 

そもそも人間界に近い「四天王界」の下層の領域になると、
ヤッカ、ガンダッパ、ナーガといわれる精霊がいます。
日本では、お稲荷さん、天狗、みーさん(蛇神)、龍神、河童などと呼ばれています。

で、この領域になると、人間界に近いためか、
「性質が悪くなる精霊」となってしまうケースもあるといいます。

こうしたことは、こちらの本でも述べられています。

天界の神が、邪神化していくケースが紹介されています。
人に取り憑いて、呪い殺すようにもなった龍神のケースが、
この本には紹介されています。
 

悪いヤッカから身を護る「アーターナーターの護経」

で、話しをパーリ仏典に戻しますと、先ほど紹介した「「アーターナーティヤ経」には、
「アーターナーターの護経」というのがあります。

お釈迦さまが生まれ故郷のマガダ国にある霊鷲山(りようじゆせん)にいたとき、
天界の三十三天から「毘沙門天(ヴェッサヴァナ)」が降臨されます。

このとき毘沙門天は、
「ヤッカ(神霊)には悪意を持った者もいます。
仏弟子や在家の者に危害を加える者もいます。
そこで守護のために「アーターナーターの護経」を護持されることをお勧めいたします。」
と言って、お釈迦さまも、弟子にこの護経を勧めています。

要するに悪神から護るためのお経ですね。
それが「アーターナーターの護経」です。
その内容は、次の通りです。
 

明らかな眼をもち、光輝にあふれたヴィパッシ仏に帰命する。
すべての生き物を憐愍するシキ仏にも帰命する。
煩悩を洗い流した苦行者であるヴェッサブ仏に帰命する。
魔の軍隊を打ち破ったカクサンダ仏に帰命する。
完成者でありバラモンであるコーナーガマナ仏に帰命する。
すべてのものから解脱したカッサパ仏に帰命する。

すべての苦を除く、この教えを説いたサキャの子であり、
光輝にあふれたアンギーラサ(ブッダ)に帰命する。

世間において寂滅に達し、あるがままに眺め、
中傷せず、恐怖を離れた、それら偉大な人たちは、
明知と実践とをそなえ、恐怖を離れて、
天と人とを利益した、偉大なゴータマ仏に帰敬する。

母神の子であり、大きな輪を有す太陽が昇るところ、
それが昇るとき、夜は消滅する。
太陽が昇ったとき、昼と称され、
そのところにある湖は深く、水の流れ込む海は深い。
このようにそこにおいて、それを「水の流れ込む海」と人々は知り、
これから「この方角が東である」と人はいう。
この方角を守護する、名誉ある大王は、
ダタラッタという名前の、音楽神たちの統治者である。

その場所から亡者と、中傷する者と、陰口をいう者と、
凶暴な殺生者と盗賊と詐欺者とを連れ出せといわれるところ、
これから「この方角は南である」と人はいう。
この方角を守護する、名誉ある大王は、
ヴィルーラという名前の、妖精たちの統治者である。

母神の子であり、大きな輪を有す太陽が沈むところ、
それが沈むとき、昼は消滅する。
太陽が沈んだとき、夜と称され、
そのところにある湖は深く、水の流れ込む海は深い。
このようにそこにおいて、「水の流れ込む海」と人々は知り、
これから「この方角が西である」と人はいう。
この方角を守護する、名誉ある大王は、
ヴィルーパッカという名前の、竜神たちの統治者である。

楽しいウッタラクル洲、そこに美しいシネール山がそびえ、
人々はわたしのものという執着をもたず、愛執をもたずに暮らす。
これより「この方角が北である」と人はいう。
この方角を守護する、名誉ある大王は、
クヴェーラという名前の、霊人たちの統治者である。

かれらもまた、太陽の種族であるブッダを見て、
偉大にして、恐怖を離れたブッダに帰命する。
人中の貴人よ、あなたに帰命する。
人中の最上の人よ、あなたに帰命する。
あなたは巧みに大衆を観察する。
人ならぬ者も、あなたに礼拝する。
わたしたちはつねに聞いている、「あなたたちは勝利者ゴータマに礼拝するか」と。
それゆえ、わたしたちはいおう、
「わたしたちは勝利者ゴータマに礼拝する。
明知と実践とをそなえた覚者ゴータマに礼拝する」、と。』

「比丘たちよ、このアーターナーターの護経を学びなさい。
比丘たちよ、アーターナーターの護経に習熟しなさい。
比丘たちよ、アーターナーターの護経を記憶しなさい。
アーターナーターの護経は、
比丘と比丘尼と男の在家信者と女の在家信者を保護し、
守護し、害をなくし、平穏に暮らすために役にたつでしょう。」

世尊はこのように説かれた。
それら比丘たちは歓喜して世尊の教説を信受した。