ソリーナ・ストリングアンサンブル(Solina String Ensemble)〜モジュレーションが効いたレトロ電子楽器

1970年代は、ユニークな電子楽器が多かったものです。

モーグ・シンセサイザーは、その代表格ですが、シンセサイザーとは、また違う、ユニークなキーボードが、いくつかあったものでした。

その、ユーニークなキーボードの一つは「ソリーナ」。

「ソリーナ・ストリングアンサンブル(Solina String Ensemble)」というものです。

ソリーナは、弦楽器の音を、電子楽器で再現したものです。

ストリングス・アンサンブルを、「電子楽器でやっちまおう」というものですね。

なので、ソリーナで出せる音は、

・コントラバス
・チェロ
・ビオラ
・ヴァイオリン
・ブラス
・ホルン

でして、ほとんどが弦楽器です。
といいますか、実は、全部、同じ音源です^^;
ちょっと音を曇らせたり、明るくしているだけで、音源は同じ。

ブラスとホルンも入っていますが、これも、アタックの音を変えただけで、同じ音源です^^;

はは。

 

そんなソリーナなのですが、音そのものは、非常にショボかったりします。

子どもの科学雑誌の付録に付いてくるかのような電子キットもどきの音だったりします^^;

ぷ~~~とかいう音(笑)

情けないといいますか、貧相な音なんですね。

 

しかーし!
そのチープで、スカスカな音が、「モジュレーション」というボタンを押すと、あれま!

とたんにリッチで、奥行きのあるステキなアンサンブル音に変身します。

これぞ、「ソリーナ・マジック」と言うべき、「モジュレーション」効果です。

論より証拠。
かくと聴きなはれ!

Solina String Ensemble

これこれ。
「モジュレーション」が亡い状態だと、びーとかいう、うるさい音です^^;

しかし「モジュレーション」ボタンを押すと、とたんに「びゅーてほー」になります。

プルプルと震えながらも、奥行きと広がりのあるリッチなサウンドに変身。

豪華絢爛なオーケストレーション・サウンドです。

 

この「モジュレーション」、その正体は「コーラス」というエフェクターです。

ソリーナに搭載されたコーラスは、「三相コーラス」と呼ばれる、奥行きと広がりを生む独特なコーラス装置なんですね。

昔は、BBDという素子(IC)を使って、音の遅延効果を出していたものです。

コーラスエフェクターでも、BBDを使用していました。

で、ソリーナのような三相コーラスの場合、BBDを多用し、モジュレーションが強くかかった音を三段にするわけですね。

ガンダムに出てきた、黒い三連星のジェットストリームアタックの如く^^;モジュレーションを三段にして、深みのあるコーラスにしてしまう。

そんな贅沢なコーラス装置です。
当時は。

で、さらに「フェイザー」というエフェクターをかけて、超異次元サウンドをも生みだしていたものです。

 

このソリーナ。
音源的には「矩形波」「方形波」といわれる音がベースです。

「矩形波」「方形波」は、当時の電子オルガンで多用されていた音源ですね。

「矩形波」「方形波」は、デジタル信号と同じ波形をしているため、作りのが容易だったりします。要は「パルス波」なわけですね。クリック音と同じです。

わかりやすくいえばプーとかいう「ファミコン」の音です。

が、これをちょちょっと組み合わせるとオルガンサウンドになります。

 

そんなオルガンサウンドである「矩形波」を、コンデンサーを使った減衰回路を通して、減衰波形にするんですね。

この減衰波形が、ノコギリ波に似ているんです。

で、これを使ってストリングス音を生みだしています。

ソリーナの音は、こうしう仕組みになっています。

いわば、エセ・ノコゴリ波ですね。
ソリーナの音は。

で、ソリーナの場合、これに三相コーラスをかけて、リッチで豊かなストリングス・アンサンブルサウンドに仕立てています。

だから「ソリーナ・ストリングアンサンブル」っていうわけなんでしょうね。

 

で、1970年代当時、ソリーナ・ストリングアンサンブルは大活躍。

ハービン・ハンコック、ジャン・ミッシェル・ジャールの作品では聴くことができますね。

ジャン・ミッシェル・ジャールの「軌跡パート4」なんかは昔、矢追純一のUFO番組でもよく使用されていましたが、このストリングス音は、ソリーナ様です。

Jean Michel Jarre/Equinoxe 4

引用元:Jean Michel Jarre(Official)

ちなみに、この音楽、矢追純一の「宇宙人スペシャル」でよく使われていました。

エリア51に宇宙人の死体があるとかで、何週間かにわたって特集も組まれた特番です。

この番組で、緊張感MAXを出すために、けたたましく鳴っていましたね^^;

 

あと、日本を代表する冨田勲先生も、「ソリーナ・ストリングアンサンブル」をメチャ使っています。

「惑星」では、ソリーナやモーグの音を重ねて、独特の美しいサウンドにまで昇華しています。

冨田勲「惑星」 – 金星(Venus)

著作権の関係でここに紹介できないんですが^^;、YouTubeで検索してみてください。

冨田勲さんの「惑星」から「金星」。

究極の「ソリーナサウンド」といっても良いくらい、豪華絢爛に作り込んでいます。

もう、濃厚ネクターかのような、とろける音になっています。

電子楽器も、ここまで使いこなされると、もはや完全に芸術の領域です。

「モジュレーション」サウンドの妙でもあります。

 

というわけで、70年代珍楽器光景にもなりそうな「ソリーナ・ストリングアンサンブル」。

モジュレーションをかけることで、途端にびゅーてほーなサウンドに変身する珍楽器。

しかし、その美しい音は、目立たないところで、縁の下の力持ちとして、使われていました。

No,47【Solina String-Ensemble】

ちなみに、その後、他の電子楽器メーカーでも、
「ソリーナ」の音源式が採用されます。

・Roland RS-101 / 202
・KORG PE-1000 / PE-2000
・YAMAHA SS-30
・Moog Polymoog
・Roland RS-09
・KORG Λ
・KORG Σ

ソリーナ・ストリングアンサンブル。
知られざるレトロ電子楽器ってところかもしれませんが、相変わらずいい音ですね。

今では、DTM音源になっているみたいですね。

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