成功法則や成功哲学に潜む危険性

成功法則や成功哲学に潜むリスク

成功法則や成功哲学には「成功できる」といった射幸心を煽る部分があって、ここがリスキーな部分になっています。

欲望や感情を刺激し過ぎて、増大させる危険性ですね。「使用上には注意」ということです。

ですので成功法則や成功哲学では、このマイナス部分を取り除くなどの修正が必要だったりします。

しかし成功法則にあるリスクを知らずに、額面通りに使用すると、面倒なことになったりします。

といいますのも近代の成功法則や成功哲学は、やり方を誤るとサイコパス的な性格になり、人格障害を生み出す危険性があるからです。

◎プラス思考・ポジティブシンキングのデメリット・危険性~自己愛・煩悩が肥大化し人格障害に

成功法則や成功哲学の歴史

この前、こちらで成功法則・成功哲学の歴史をご紹介しましたが、ここでおさらいしながら、19世紀から20世紀に入ってからの歴史もあわせてご紹介します。

19世紀・アメリカ
クィンビー「ニューソート」
思考が心身に影響を及ぼすという発見。「病は気から」ということを実証。

19世紀・イギリス
スマイルズ「セルフヘルプ」
道徳的、社会奉仕的に生きて、自助努力で人生に成功し豊かになれる。

20世紀・アメリカ
ディビアン・サイエンス教会(マーフィィー)
クリスチャン・サイエンス

クィンビー「ニューソート」とスマイルズ「セルフヘルプ」を統合したようなもので、潜在意識を使って願望を成就し成功をもたらすとする教え。

20世紀・アメリカ
鉄鋼王カーネギー、ナポレオン・ヒル
アメリカを代表する財閥、カーネギー財団を背景に、ビジネスで富を得て成功する現世利益的な成功術を広める。

20世紀後半
自己啓発セミナー、新興宗教、マルチ商法
高額な受講料を取るビジネスとして広まる。

21世紀
ビジネスの分野で一般的に広まる
神田昌典、本田健、石井裕之、アンソニーロビンズ、苫米地英人など

こういった歴史があります。

【参考】
◎成功法則や成功哲学の歴史と真実~クィンビー「ニューソート」とスマイルズ「セルフヘルプ」が元祖

現代の成功哲学・成功法則は、カーネギー財団によるナポレオン・ヒルが典型です。

が、ともするとビジネスでの成功を金科玉条とし、これを目指すことに価値を置くようになっています。

そのため欲望を過剰に刺激し、貪欲にしてしまって、反省心を欠如した破廉恥な人間、大変なエゴイストを生み出すリスクがあります。

端的にいえば、人格障害者・サイコパスを生み出す恐れがあるということです。

自己啓発セミナーという成功哲学・成功法則セミナー

事実、80年代の終わり頃、日本でも「自己啓発セミナー」という成功哲学と成功法則を過激に行う集団も出てきました。

この「自己啓発セミナー」は、当時、アメリカでも流行っていた成功哲学セミナーなのですが、依存性が強く、カルト的であり、これに関わった人の少なからずが、性格に異常を来し、精神的に破綻しています。サイコパスや人格障害も生み出しています。

これが現代の成功法則や成功哲学のなれの果てであって、ゴールだったりします。

もちろん、過激に行っていたからこそおかしくなってしまったわけですが、過激にさせても「おかしい」と思わせないマインドテクニックがあったりもします。

「プラス思考」に徹底させるといいながら、その実は欲望を過剰に煽るものでした。欲望を「願望」にすり替えて錯誤させていたわけです。

しかも「プラス思考」に執着させて、「プラス思考でなければダメだ」といった強迫観念を植え付けますので、その実体は「ネガティブマインド醸成」であり「洗脳」だったわけです。

カルト宗教と同じです。人格障害になっていった人も少なからずいたため、やがて社会問題化していきます。

現代のビジネスセミナーではソフトな成功哲学や成功法則

現代の成功哲学や成功法則は、「人生での成功」「お金持ちになる」といった、現世利益的なニンジンを目の前にぶらさげて、これを追わせるというものです。

クィンビーや、スマイルズのような「健康的な心を育む」といったスタンスとは大きく様変わりをしています。

今では、ビジネスセミナーでは当たり前のように「成功法則」「成功哲学」が説かれています。ソフトなかたちで取り入れられていて、昔の自己啓発セミナーのように過激で危険なやり方はしていません。

が、「仕事で成功する」「お金持ちになれる」「願いがかなう」といった、現世利益的なニンジンを目の前にぶらせげて、欲望を煽り、欲望を満たす道具になってしまう恐れがあることは否めません。この点は注意する必要はありますね。

今では欲望に罪悪感を持たせないメンタルテクニックを導入し、それを「メンタルブロック外し」と称したりしなながら、なかなか巧妙なやり方にもなっています。

しかも、こちらでも説明した通り、成功法則や成功哲学で願望は必ずしも実現しません。厳密にいえば、活用できる人と、できない人がいるってことになります。

で、願いが叶わない体質や傾向な人が、願望イメージを描いて成功を実現するというのはおかしなことでもあったりもします。妄想の世界に浸って欲望をパンパンにふくらませてしまうことになります。

アンドリュー・カーネギーの成功法則から歪み

そもそも成功法則や成功哲学は、20世紀の半ばより、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの教えも交えて発展もしています。

カーネギーは、アメリカを代表する支配者層のカーネギー財団を創設した人物です。彼の成功法則や成功哲学には、人々を貪欲にせさてしまう恐れがあるのも、ある意味納得できるところもあります。

成功法則が誕生し発展していった歴史を知れば、サイコパス的になるのは否めません。

ちなみに元々の成功法則や成功哲学というものは、道徳的な生き方の勧めと、前向きな志を持って生きることの勧めでした。

で、これこそがイギリスのスマイルズが提唱した「セルフヘルプ」です。自助努力によって自らを向上させる生き方の奨めですね。実はこれこそが「本来の成功法則」になります。

またクィンビーが言うように、クヨクヨしていては病気になってしまうので、「明るい気持ちでいましょう」といった「病は気から」を指摘する健康的な生き方の提唱でした。

しかしアンドリュー・カーネギーやナポレオンヒルが絡むことで射幸心や欲望を煽るリスクのあるビジネス成功術へと変容していきます。

元来の成功法則や成功哲学は「当たり前」

歴史をご覧の通り、成功法則や成功哲学は元々はノーマルで心身ともに健全健康を志向する教えだったものです。道徳的で、ある意味「当たり前になる」ことを提唱していたものでした。

成功哲学の元祖は、東洋人や日本人にとっては「当たり前」の感覚があります。無為自然、自然体で生きる、肩の力を抜いて生きる、お天道様とともに生きるといった天然素朴な有り様に立ち返る有り様ですね。

ですが、欧米ではキリスト教というイオデオロギー宗教に洗脳されていたため、当たり前のことが当たり前とされない歴史が長かったのでしょう。そこに成功哲学の元祖が登場したということなんでしょう。

こうした「当たり前」の成功哲学の思想が、20世紀の半ばからはビジネスと絡むようになって、だんだんと拡大解釈もされて、歪みを見せていくようになります。

あるがままこそ真の成功法則・成功哲学

現代の成功法則や成功哲学が、サイコパスや自己愛性人格障害を助長することを指摘している人は少ないかもしれません。しかし今後、多くの人が気付くようになるでしょう。

成功法則や成功哲学は、その歴史を踏まえると、リスキーな点があることが分かります。

ですから修正する必要があります。気付かれにくいように欲望を刺激し、欲望を推し進めて、成功という果実のみを手にする生き方を「よし」とする志向は問題があること、誤りであることを見直す必要があります。

そのためには成功哲学の元祖に立ち返り、健全な方法に立ち戻って原点に立ち返ることですね。

端的にいえば、クィンビーと、スマイルズの方法に戻す事です。本来の成功法則と成功哲学に立ち返ることが、今必要でしょう。

あるいは持って生まれた自分自身に感謝をし、周囲にも感謝をして、「自然体に生きる」ことですね。実のところ、自然体であることが本当はもっとも良いことで、幸福への道だったりします。

それを「あるがまま」と言っていますね。仏教的な言葉でいえば「如実知見(にょじつちけん)」です。

「いまここ」に生き続けることで、認識が変容し、「あるがまま」に物事を受け止めていくことのできる意識ですね。これこそが真の成功法則であり成功哲学でしょう。

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