貧困が犯罪を生むことを伝える転輪聖王修行経

貧困が犯罪と不幸を生み出すことを伝えるお経

原始仏典には人類の原罪について説くお経もあります。それは長部経典26・転輪聖王修行経(てんりんじょうおうしゅぎょうきょう)」というお経です。

このお経は、人類に初めて悪徳(殺生、窃盗、嘘・詐欺)が生じたことを伝える、つまり人類の原罪を伝える、神話的な装いを取った大変興味深いお経だったりします。

原罪といえばキリスト教ですが、キリスト教での原罪は、今ひとつ曖昧です。まさに神話的。

キリスト教での原罪とは「性悪説」を説くものだという話しもありますね。そういう意味では、原始仏典が説く原罪は「性悪説の始まり」とも言えそうです。

で、原始仏典では、人類が性悪になったのは「貧困が原因」としています。で、貧困から窃盗がはびこるようになって、殺人、嘘が横行するようになったと説いています。大変具体的です。

転輪聖王修行経(長部経典26)とは

このように人類が性悪説と言われるようになった由来が、長部経典26・転輪聖王修行経に伝承されているわけですね。で、このお経をザックリとお話しいたします。

人類は転輪王が統治する理想の世界に生きていた

昔、地球(インド)にはダルハネーミという転輪王(てんりんおう)がいました。

転輪王(てんりんおう)とは、理想の王様のことをいいます。武力を使うことなく、徳と知恵によって賢い政治を行い、人々は悪いことをすることなく、平和で豊かな生活ができるように努める、そんなすごい王様を「転輪王」といいます。

で、転輪王ダルハネーミは、德に基づく政治を行い、人々は争うことなく、愛と思いやりに満ちて、豊かで平和な生活をしていたといいます。犯罪の無い、徳に満ちた生活ですね。

で、ダルハネーミという転輪王から6代目の王様までは、人々は罪を犯すことなく大変幸せな生活をしていたそうです。

7代目の王が悪政を行い人々に貧困が生まれる

ところが7代目の王様になってからおかしくなってしまったといいます。7代目の王は、頓珍漢な政治を行うようになり、国民に財産を充分与えなくなってしまったといいます。

で、国民の中に初めて貧困が生じます。人類に初めて「貧困」が生じたということですね。

このことは今の日本における緊縮財政や財政規律と同じかもしれませんね。間違った貨幣観に基づく間違った財政政策です。そりゃ貧困が生まれますよ。日本をみれば明らか。

おそらく7代目の王様は、お金は価値あるモノとする商品貨幣論に陥り、お金を貯め込むようになって、間違った財政政策をするようになったんだと思います。

間違った貨幣観に基づいた政治を行ったことを、お経では示唆しているのだと思います。

貧困の増加に従い窃盗・殺人・嘘が増えていった

で、貧困が増えるようになるにしたがい、盗み(窃盗)が起きるようになり、盗み(窃盗)が横行するにつれて、強盗による殺人が起きるようになり、その罪を隠すために嘘を付く人も多くなってしまったといいます。

このように王の悪政によって、人々の間に貧困が生まれたことで、人々の心は荒み、窃盗・殺人・嘘といった悪徳がはびこるようになったといいます。

国の経済政策がマズいと国民は貧困に陥る

「転輪聖王修行経」は大変興味深く、示唆に富んだお経だったりします。この転輪聖王修行経で注目する点は3つあります。
それは、

  1. 王(政治家)の経済政策がマズいと国民は貧困に陥る。
  2. 貧困は、強盗、殺人、詐欺を引き起こすようになる。
  3. 国民の貧困は政治が原因(それまで豊かだった国民が普通にしていて貧困化するのは政治に原因がある)

ということでして、貧困は諸悪の根源だったりします。で、国の経済政策がマズいと、貧困を生みだし、世の中に不幸や悪徳を増やすということなんですね。いかに国の経済政策・財政政策が大事なのかということです。

国の政治がマズいと国民を不幸にしてしまう

そもそも国家の舵取りによる功罪は、国民個人の努力ではどうすることもできません。乗り越えられないものがあります。政治家主導なわけですね。

現代においてもそうです。2000年前後に発生した就職氷河期世代は、政治による被害者世代です。彼ら彼女らには何ら責任もありません。

今、コロナショックで日本の経済も揺れ動いています。今のまま新規国債を発行しないでいると、企業は倒産し、失業し、所得は減って、自殺する人が出てくるようになります。

転輪聖王修行経の通りで、窃盗、殺人、詐欺も横行するようになるでしょう。大変なことになります。

国は政策を誤ると、必ず国民は苦しむようになります。観音経でいうところの「或遭王難苦」です。「政治家の悪政で苦しめられる」ということです。

コロナショックの今は政府主導で大規模な国債発行が日本を救う

コロナショックの今、日本の政府が経済対策を誤れば大変なことになります。

けれども日本の場合は、新規国債を大規模に発行することができます。これを行えば国民と企業は救われます。必ず救われます。後で税金で返す必要もありません。

できないことをしろとは言っていません。当たり前にできることをしていただく。

しかし政府は、財政を間違って理解している。間違った従来の経済学を信じている。だから大規模な国債発行をしようとしない。躊躇している。

今、政府は、善政をするのか悪政をするのかの瀬戸際にあるといっていいでしょう。今、本当に救済できるのは政府(政治家)だけです。

いえいえこれは各人の努力の放棄とかではなく、事実を言っているんですね。国民の力だけではどうしようもない問題です。

日本という列車を運転している車掌が政治家です。政治家の決断に全てかかっています。今は、そういう状況です。

「政府の悪口を言うな」という間違ったレトリック

ところで「政府の悪口を言うな」という向きもあります。が、「適切な批判」と「不適切な批判」は違います。

政府にしかできないことを、政府がしないなら、適切な方法を示しながら批判することは大いに結構です。国益にかなうための批判です。

個人攻撃されて、それで反撃する批判などとは性質が違います。なんでもかんでも「批判はよくない」とするのは思考停止なんですね。

で、実際、今、政府を正しく批判しませんと、国民全員が全滅します。

「批判しないほうがいい」というのは、それは個人のみに関することでしょう。大勢の人の命が関わっているときに、「批判はよくない」と言って、知らん顔をしているのはいかがなものでしょうか。仏教者に、意外とこれが多い。

貧困こそが諸悪の根源だった

政府が行う政策が適切でないと、国民は苦しめられてしまいます。

今、コロナショックでわさわさしていますが、政府が経済対策を誤れば、疫病(コロナ感染)は拡大し、企業の倒産、所得の減少、失業者の増加、自殺者の増加、そうして独裁者のようなポピュリズムに乗じた政治家を輩出するリスクもあります。こうなると悲惨です。

原始仏典にある転輪聖王修行経はとても意味深です。政府の経済政策がマズいと貧困が生じ、世の中に悪徳がはびこることを示唆した教訓に満ちたお経ともいえます。

貧困を招かない政治がいかに大切なのかがわかると思います。そして人類史においては、貧困こそが諸悪の根源(外部的要因)だったということになります。

 

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